現在、多くの構造物が老朽化により頻繁に補修工事を必要としています。しかし、技術の進化により、こうした補修作業が不要になる可能性が出てきました。それが「自己治癒コンクリート」です。バクテリアの力を借りて、ひび割れを自動修復する驚異的な技術が、耐久性を飛躍的に向上させます。本記事では、この技術の仕組みやメリットを詳しく解説します。
では、行きましょう!
Basilisk HA
自己治癒コンクリート
バクテリアを利用したコンクリートのひび割れ自己治癒剤
自己治癒コンクリートとは?
自己治癒の仕組みと技術の概要
自己治癒コンクリート バジリスクはバクテリアの代謝活動によりコンクリートのひび割れを自己修復させる混和剤であり、本技術の活用で構造物の耐久性が向上し、メンテナンス作業を低減させた長寿命化が期待できる。
使用されているバクテリアの役割
"自己治癒"のしくみは、無機物であるコンクリート内に有機物である微生物を封じ込めることで実現された。ひび割れなどから侵入する水分がトリガーとなりコンクリートに配合された休眠状態のバクテリアが覚醒、水とともに入り込む酸素と反応し分裂を繰り返す。その後バクテリアはともに配合された"餌"を取り込み、代謝物としてコンクリートの主成分である炭酸カルシウムを排出、これがひび割れを埋めていく。なお、修復が完了すると、水と酸素の供給が止まるためバクテリアの活動は停止する。
バジリスク技術の強み
ひび割れ修復による耐久性の向上
ヒビに炭酸カルシウムが生成する事で最大1.0㎜まで埋める事ができる。
このため、
①メンテナンスを施さなくてもヒビが埋まるため長期的な品質が向上する(自己治癒性能)。
②水分があるところほど生成されるため、ヒビが埋まる事による止水性能が向上する。
③水分が浸入しないため耐凍害性能が高まる。
適用事例と今後の展望
道内航空施設で初の試み
自己治癒コンクリートを新千歳空港の駐機場で実証実験を行なっている。この効果が証明されれば、補修修繕にかかる負担の軽減並びにライフサイクルの延長が期待される。さらに、高速道路や新幹線といった容易に補修作業ができない構造物にも特に有効である。
長期耐久性200年の可能性
長期耐久性について會澤高圧コンクリートの會澤社長が以下の通りコメントしています。
「私たちの研究では、バクテリアはコンクリート内で約200年生き続けることが可能です。つまり、コンクリートの自己治癒機能も、その間は持続するわけです。これは、従来の鉄筋コンクリートがおよそ50年から60年であることに比べ、その寿命が飛躍的に伸びることを意味しています。また、従来のコンクリートと比べて、ひび割れや劣化の補修に要するマンパワーやコストが格段に低くなり、更には、脱炭素化社会の実現に向けて大きなインパクトを与えることになるはずです」
まとめ
自己治癒コンクリートがもたらす未来の建設業界
脱炭素やCO2排出削減は、建設業においても対策を求められてる。自己治癒コ ンクリートの活用によりコンクリートの寿命が延びることになる。現在、セメン ト生産では、1トンあたり約0.8トンものCO2が排出されています。日本にお けるセメント生産によって排出されるCO2は年間やく3400万トンで全産業の 5〜7%を占めていることから、この排出抑制は、この問題解決に貢献できるも のである。
近い将来構造物は、自己治癒するのが当たり前になるかもしれません。
以上、ありがとうございました。
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